第041回: 満蒙開拓団の事

以前書いたが、1958年アメリカで僕が最初に住んだのはコロラド・スプリングス。その後現地で奇しきご縁で知り合いになった人の中にに丸山邦昭(ポール丸山)と言う人がいる。丸山さんはオリンピアンだ。もう80代半ばかと思うが、まったくお元気。東京オリンピックで参加した種目は柔道。丸山さんはアメリカ市民なのでチームはアメリカだ。今年はできたら日本へ行きたいと言うカードをいただいたが、切符が手に入らないので諦めたということだった。しかしこのコロナ騒ぎでどちらにしても無理だったが。

実はオリンピアンの丸山さんはご自身終戦直後満州から引き上げてきたのだが、丸山さんのお父様の丸山邦雄さんは長野県飯山の出身で終戦直後満州に取り残された日本人満蒙開拓団救出に尽力した方だ。満蒙開拓団のことはおそらくほとんどの日本人がしっかりと認識していないのではないかと思うのだけれど、今僕が住んでいる長野県の人にとっては地元の話題で時々テレビ番組のネタになっている。

丸山さんは丸山邦雄さんの三男にあたるが、お父様についてご本を書かれた。日本語と英語の両方で出版されていて、一昨年NHKの番組として「どこにもない国」と言うタイトルで紹介された。

終戦の年、北方から不可侵条約を破ってソ連軍が満州になだれ込んできた時、日本はすでに降伏していて満蒙開拓団の人達は大変な苦労をした。多くの人が亡くなり、この時中国に残された子供たちは中国残留孤児となった。日本史の中でも最も悲惨な一コマといえよう。

特集ドラマ どこにもない国

  • 放送年:2018

NHKのホームページには、次の様に紹介されている。

終戦後、旧満州に取り残された150万を超える日本人の帰国を実現に導くためにわが身を捨てて奔走した男たちがいた。国家から見捨てられた同胞を故郷へ帰すための男たちの命がけの戦い。そしてそれを支えた妻たちの愛。複雑怪奇な冷戦下の国際情勢に翻弄されながら、奇跡とも言われた「引き揚げ」は、どのようにして実現に至ったのか。歴史の陰に埋もれてきた戦後秘話を中国ロケも交え、壮大なスケールでドラマ化、とある。

ネタバレになるが大まかに言うと結局昨日の敵は今日の味方、丸山邦雄さんの説得に応じた時の連合軍総司令官ダグラス・マッカーサーは取り残された日本人の引き上げのために中国までアメリカの輸送船を出してくれた。この時日本は全く主権もなく何の打つ手もなかったなか人道的な計らいかと思われる。

戦争は悲惨だ。日本も間違った事をしたのは確かだが、憤りを覚えるのはスターリン傘下の共産ソ連だ。戦争終了時のいわばどさくさ紛れに満州に攻め込み共産勢力を広げようとしたのには、許しがたいものがある。朝鮮半島の分断、中国の共産化、未返還の北方領土など、後遺症はまだまだ残っている。

戦後75年。反省すべきは反省すべきだが、主張すべき事は主張すべきであろう。この辺についてはまた。