実はこの歌は1963年僕がアメリカの大学の寮に入った9月のある日、内から持って来たラジオをセットした途端に聞こえてきた歌だった。
上を向いて歩こう
涙がこぼれないように
思い出す 春の日
一人ぽっちの夜
導入の木琴の音が素晴らしく新鮮だったが、何と歌詞は日本語、よく通る声の日本人の男性が歌っている。それだけでも驚くべきことだったのだが、ラジオのディスクジョッキーはこの歌の名前はスキヤキ、(SUKIYAKI)だと言った。
いや、驚いた、そんなわけないでしょう!
上を向いて歩こう
にじんだ星をかぞえて
思い出す 夏の日
一人ぽっちの夜
幸せは雲の上に
幸せは空の上に
しんみりしたこの音楽は日本語が分かれば悲しい歌だと分かるが、そうでなければ癒しの音楽と捉えられるのかもしれない。例えば大学周辺で当時流行っていた音楽との「落差」。確かにこの頃のロスアンゼルスではビーチ・ボーイズのSurfin’ USAの様な音楽が中心で、そのコントラストがかえって魅力的だったのではないかと後から考えると思う。
結局この歌は歌詞の意味も理解されないままアメリカで気に入られ
ビルボード(Billboard)誌では、1963年6月15日付に、現在においても日本人のみならずアジア圏歌手唯一となるシングル週間1位を獲得。同誌の1963年度年間ランキングでは第10位にランクインした。(Wikipedia 「上を向いて歩こう」より)
しかし、この記念すべき歌を歌った坂本九は1985年(昭和60年)8月12日に発生した日本航空123便墜落事故により帰らぬ人となった。8月12日でちょうど35年になる。
悲しみは星のかげに
悲しみは月のかげに
上を向いて歩こう
涙がこぼれないように
泣きながら歩く
一人ぽっちの夜
一人ぽっちの夜
上を向いて歩こう……
黙祷
※来週24日は休載します。次回更新は8月31日の予定です。