第056回:バンジョーの事

 これは僕が作ったバンジョーだ。アメリカの大学在学2年目に作ったバンジョーで、残念ながらネックが曲がったりして、もう弾けないが、作った当初は素晴らしい音色だった。僕はその素朴な音色が大好きだ。

バンジョーと言う楽器は名前も知らない人が多いし、もともとアフリカに起源があるようだ。その後西と東に分かれて発達しアメリカのそれは奴隷として連れていかれた黒人が自分たちの故郷の楽器を改良して作ったものだと言われている。東へ進んだ楽器は日本では三味線がその「末裔」だ。

そもそも何で興味を持ったのか。ちょうど大学に入った頃、1963年だったが、キングストントリオというフォークグループが全米で大人気。とにかくハーモニーが素晴らしかったが、その中で当時僕が最も惹かれたのがバンジョー弾きだった。リーダーのデイブガードが弾いていたバンジョーは実はロングネックバンジョーと言って普通のそれよりフレット3つ分長い。首が長いバンジョーと言うのは音が少し低いので声があまり高くない人が一緒に歌うことができる。

あとになって分かったのだけれど、そもそもキングストントリオのバンジョー奏者のモデルは北米のフォークシンガーでこの世界で知らない人はないピートシーガーだったのだ。残念ながらピートは2014年に亡くなった。

さて、バンジョーの最大の問題は音が大きすぎて練習する場所が確保できない事だ。結局カラオケボックスなどに昼の時間に行って音を出すことになる。

ドア外から怪訝な顔して覗き込む店の人や若者たち。しかしそれもまた楽しからずや。

バンジョーについてはまた。

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